Defiアビトラ
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Voltz・Notional・AAVEで金利の三角裁定をやってみる その1
イーサリアムのザ・マージが終わって以降、仮想通貨の金利マーケットは全く盛り上がりに欠いていますね。しかしながら、VoltzでSOFR金利のトレーディングができるようになったなどと、金利Defiは素晴らしい進化をとげつつあります。 今回はそんな仮想通貨の金利プロトコルを使ったアービトラージを紹介していきます。
Voltz
Voltzとは結構本格的な金利トレーディングのDefiです。金利の仮想トークンのようなもののマーケットをAMMで構築することにより、固定金利と変動金利のトレードを可能にしています。 Voltzのホワイトペーパーは、金利マーケットAMMの仕組みを理解する上でとても有益なので一度読んでおくことをお勧めします。
従来の固定金利レンディング市場は、固定金利の借り手に対しては固定金利の貸し手が必要であった(もしくはヘッジ先を見つける必要があった)ために流動性不足に悩まされていました。しかし、Voltzのこの金利AMMの仕組みによって、固定金利レンディング市場も発達したように思います。
ちなみに異なる金利同士の交換を金利スワップと言います。
Notional
NotionalはVoltzとは異なり、固定金利のレンディングにターゲットを絞ったDefiです。Voltzの複雑極まりないUIに対して、非常に直感的でわかりやすいUIが良いですね。
これはVoltzにも言えることですが、Defi上で固定金利の貸借を行うことのメリットの一つとしてレバレッジが挙げられます。変動金利を使う場合、その値は原理上100%を超えることができるため、一般的なレンディングプラットフォームでは必ず過剰担保を要求されます。現実世界(web2の世界)ではクレジットという概念を用いることにより、担保以上のレバレッジをかけることができるのに対し、Defiが持つこの性質は欠点としてよく挙げられます。固定金利のレンディングマーケットでは、制約はあるものの、この点を一部克服することができます。例えば、金利が5%であった場合、額面100に対して必要な担保は金利の支払いに使う5で固定されているので、最大20倍のレバレッジをかけることができます。
AAVE
AAVEに関しては説明の必要もないでしょうが、とても有名でベーシックなレンディングプラットフォームです。AAVEのようなレンディングプラットフォームで用いられるAPYという概念は変動金利のことを指します。なぜAAVEを使うのかと申しますと、Voltzで使われている参照変動金利がAAVEのAPYだからです。
ちなみにAAVEにも固定金利での貸借はありますが、変動金利での貸借と比べて借りる際のAPYが非常に高めになっており、一般的ではないです。
AAVEやCurveのようなレンディングサービスと金利との間には密接な関係があります。なぜならば、どのようなレンディングサービスにも利子という名のキャッシュフローが付随してくるからです。
ある仮想通貨を預けて何%かの利子をもらうという行為を金利マーケットの世界では、金利を受け取ると言います。逆に仮想通貨を借りて何%かの利子を払うという行為は金利を払うという言い方をします。
金利裁定の仕組み
さて、説明しました通り、Notionalでは固定金利のやり取りを、AAVEでは変動金利のやり取りを、そしてVoltzでは固定金利と変動金利の金利スワップを行うことが出来ます。
つまり、
- Notionalで固定金利を受け取る
- Voltzで固定金利を払い、変動金利を受け取る
- AAVEで変動金利を払う
または、
- Notionalで固定金利を払う
- Voltzで変動金利を払い、固定金利を受け取る
- AAVEで変動金利を受け取る
というスキームを同一額面で行えば、上手くいけば金利の変動リスクなしで固定金利もしくは変動金利を受け取ることができることがわかります。
(例えば、Notionalの固定金利が6%、Voltzの固定金利が5%の場合)
と、ここまでは完全にアイデアベースで記事を書いてきたので、次回の記事で本当に儲かるのか実践してみます。(ちなみに、AAVEで過剰担保を要求されている時点で普通にレンディングした方が儲かる気がしてます...)