【特集】Bitcoinのマルチアセットネットワーク化が可能に

Lightning LabsのCEOで共同創業者のエリザベス・スタークは、The Blockに対し、Taproot Assetsが「ビットコインのルネサンス」を進め、Lightningをマルチアセットネットワーク化し、「ビットコインをお金のインターネットとして確立する」可能性があると述べた。 Taproot Assets v0.3は、水曜日にメインネットアルファ版としてリリースされ、ビットコイン上でステーブルコインやその他のアセットの発行を可能にした。現在はオンチェーン機能のサポートのみで、Lightningサポートは近く提供される予定だとLightning Labsは述べている。このリリースにより、ビットコインをコアの基本原則を損なうことなく、スケーラブルなマルチアセットネットワークに変革することが目指されている。

Lightningサポートのタイムラインについて

「プロトコルの開発では正確なタイムラインを示すのはいつも難しいですが、チームはできるだけ早く世界に提供するために努力しています」とスタークは補足した。「Taprootチャネルサポートを備えた我々のLightning実装LNDのv0.17を最近リリースしましたが、これはLightningネットワーク上のTaproot Assetsに不可欠な前提条件でした。次のハーフ削減が迫っている現在、ビットコインの開発を加速させるタイミングです」。 「プロトコルは発行者が単一のビットコイントランザクションを行うことで、効果的に無制限のTaproot Assetsを生成するだけで済みます。そのアセットに関するすべてのメタデータはオフチェーンに保存され、アセットに対する暗号化されたコミットメントのみがオンチェーンに保存されます」とGentry氏はThe Blockに語った。「そのほかのブロックチェーンにデータを直接保存する他のプロトコルとは異なり、これが過去1年間に見られた混雑を引き起こす要因となりましたが、この設計によりチェーン上でのアセットの発行と取引が非常に効率的に行えるようになります」。

ステーブルコインについて

ステーブルコインの台頭は非常に重要であり、The Blockのデータダッシュボードによると、ステーブルコインの総供給は1,220億ドルを超えています。 Lightning Labsによれば、ステーブルコインに対するユーザーの需要は「圧倒的」であり、ステーブルコインの発行者は、ドイツや韓国などの主要な先進国やエルサルバドルなどの国々よりも多くの米国債を保有しているとのことです。また、ステーブルコインはそのデジタル性質とセルフカストディの可能性により、グローバルなユーティリティを持ちます。相対的な価格の安定性も、インフレに悩む多くの人々にとって、インフレの影響を受けた地方通貨に比べて魅力的です。Gentry氏は、Taproot Assetsがビットコインウォレットにステーブルコインをもたらすことで、このプロセスをさらに加速すると述べています。 現在、ステーブルコインの需要はイーサリアムやトロンネットワークを中心に拡大しており、低コストで高速なトランザクションによって推進されています。しかし、Taproot Assetsはステーブルコインプロトコルとして2つの主要な利点を提供しています。「ステーブルコインユーザーが絶えず求める即時決済と低手数料の体験を提供するLightningネットワークと統合し、安全性と信頼性においてははるかに優れたビットコインブロックチェーンに落ち着く」とGentry氏はThe Blockに語っています。「ビルダーたちは、ビットコインとLightningインフラ上でエンドユーザーにステーブルコインを提供できれば、それを行いたいとの要望が増えているため、アップテークも迅速であると予想しています」。

ライトニングネットワークの将来展望と実現可能性

リリースに伴い、Lightning Labsは、将来の展望として、Taproot Assetsとライトニングネットワークを通じて、グローバルな通貨が発行され、ライトニングネットワーク上で瞬時に決済が行われる未来を描いています。このようなTaproot Asset Lightningトランザクションでは、既存のビットコイン流動性を活用し、Lightningノードはそれを知らずにTaproot Assetトランザクションを転送することができるため、ビットコインのネットワーク効果を高め、お金のインターネットのためのグローバルなルーティングネットワークを作り出すことができます。 さらに、開発者たちは、ゴールドや米国債、企業債などの現実のアセットを試験的に使用しています。スターク氏は「Taproot Assetsプロトコルにより、例えば債務証券を発行するなど、ビットコイン上で現実のアセットを発行することも可能になります。最も安全なブロックチェーンで最も価値のあるバックアップを持つビットコイン上で、さまざまな金融アセットの発行ニーズが大いに見込まれます」と述べています。 Taproot Assets v0.3のリリースにより、開発者はメインネット上でアセットの発行、管理、探索を開始するためのツールを手に入れることができます。資産の発行APIが改良され、異なる時点で発行されたアセットでも交換性が保証されるトランチド発行もサポートされています。 また、Taproot Assets v0.3では、双方が同時にオンラインでなくても資産の送受信が可能であり、新たな「Multiverse」モードによって、Taproot Assetの必要な情報を格納する「Universe」サーバーが複数のアセットをサポートし、データの信頼性を確保します。さらに、Taproot Assetsの将来の互換性により、今日発行されたアセットは、将来の機能向上にかかわらず機能し続けることができます。 チームによれば、メインネットアルファ版の開発には、セキュリティ、スケーラビリティ、開発者エクスペリエンスの向上など、重要な改善が必要でした。パフォーマンステストおよび高度なセキュリティ対策のためのツールも提供されました。 「わが社のチームは、リーディングなLightningネットワーク実装であるLNDの構築に豊富な経験を持っています」とGentry氏はThe Blockに語った。「これまでの経験を活かして、Lightningが行っているように、プロトコルのオンチェーンのフットプリントを最小化することで、ユーザーのスケーラビリティを最大化するようなTaproot Assetsの設計に活用できるようになったのです」。 「結局のところ、私たちの最大の課題は、roasbeef（Lightning LabsのCTOでプロトコルのクリエーターであるLaolu Osuntokun）をクローンできなかったことです」とスターク氏は付け加えました。

次は何か

究極の目標は明確です。Lightningをマルチアセットネットワークに変えることです。Taproot Assetsリリースの後、Lightning Labsはこの目標に集中する予定です。 Gentry氏は説明しました。「プロトコルの支払チャネル機能を完了した後、ユーザーは既存のビットコイン流動性をグローバルなルーティング通貨および交換手段として利用して、ライトニングネットワーク上で選択した通貨を送受信することができるようになります」。 メインネットのローンチ前には、ステーブルコイン、コレクティブル、現実のアセットの潜在能力を試験するために、約2,000のアセットがテストネット上で発行されました。Joltz Rewards、Nostr Assets、Royllo、Deezy、Speed、DFX Swiss、Tiramisu Walletなどのプロジェクトは、Taproot Assetsインフラストラクチャー（Webウォレット、モバイルウォレット、オープンソースのソフトウェア開発キット、アセットエクスプローラー、開発者ツール、Nostrの統合など）の構築を進めています。 Lightning Labsは2022年9月に初めてTaroプロトコルコードをリリースし、「ドルのビットコイン化」を目指していました。しかし、ブロックチェーンスタートアップのTari Labsが同社に対して一時差し止め命令を勝ち取り、Taroが自社の商標と類似した名前で同様のサービスを提供していると主張したため、名前がTaproot Assetsに変更されました。 また、Lightning Labsは7月にはAI開発のための新しいツール群もリリースしました。