【特集】トークン化されたリアルワールド資産（RWA）市場は急速に成長中

トークン化されたリアルワールド資産市場が急成長

トークン化されたリアルワールド資産（RWA）市場に対する初期の期待が低かったとしても、この市場は過去1年間で急速に成長してきた。実際、ボストンコンサルティンググループによれば、トークン化された非流動資産の市場はこの10年末までに16兆ドルの規模になると予測されている。様々なアセットカテゴリーがトークン化され、投資が集まっており、最新のデータによれば、トークン化されたリアルワールド資産の総価値は8月に史上最高の27.5億ドルに達した。それ以降は少し減少したものの、今なお約24.9億ドルの価値を持っている。

金融機関の関心が高まっている

リサーチ・アドバイザリー会社のセレントとアメリカの銀行大手BNYメロンの共同調査によると、機関投資家の91%がトークン化されたアセットに投資に興味を持っており、97%がトークン化が資産運用の世界を革新すると認識しているという結果が出ている。AllianceBlockの共同創設者であるマティース・デ・フリース氏は、「これらの統計により、機関投資の影響が市場に与えることがわかる。このトレンドの結果、トークン化されたRWA市場は指数関数的な成長を遂げることが予想され、さらなる流動性が市場に流れ込むことになる。それにより、ピーク時の資本逃避が少なくなり、より持続可能な牛市場が形成されるだろう」と語った。

トークン化の人気の急増の理由は？

トークン化されたRWA市場の人気増加の背後には、特定の国での規制上の明確さの向上（スイスなど）や成功したパイロットプロジェクトがあるようです。デ・フリース氏によれば、2022年に多くの主要な暗号通貨プロジェクトが崩壊した分散型金融（DeFi）における不持続的な利回りが、トークン化されたRWAのような持続的で現実的な収益を求める投資家を引き寄せたと指摘しています。彼は次のように述べています。「投資家は、利回りの出所が簡単に説明できない場合、それはいつか崩壊する可能性が高いと気づき始めました。トークン化されたRWAでは、利回りの出所が暗号通貨ユーザーや新規参加者に簡単に説明できるため、より魅力的となっています。」

トークン化の影響は不動産業界にも

不動産業界はトークン化が大きな影響を与えています。不動産は現在、世界最大の資産クラスであり、2023年の時点で613兆ドルの価値が見込まれています。2023年第1四半期から第3四半期にかけて、オンチェーンの不動産の価値は102％、約9000万ドル増加しました。

また、不動産を代表するトークン化されたRWAの総価値は2023年9月30日現在で1億7800万ドルです。不動産のトークン化を手がけるRealTは市場の大部分を占めています。また、Tangibleという不動産中心のRWAを発行する企業は、その中でも最も成長しています。Tangibleのトークンの総価値はたった一年で10万ドルから6400万ドルに急増しました。

以上のように、不動産はトークン化の人気の高いユースケースですが、デ・フリース氏は、さらなる課題が存在する可能性があると述べています。それは、異なる管轄区域での異なる法律や登記制度に対応する必要があるためです。彼の見解では、トークン化はエクスクルーシブなコレクタブル、ダイヤモンド、高級時計、クラシックカー、証券、さらには炭素クレジットなどの資産クラスではよりシームレスに展開できると考えています。

また、トークン化は伝統的な金融の領域でも特に債券、株式、上場投資信託（ETF）といった人気のある金融商品にも影響を及ぼしています。Backedの共同創設者であるアダム・レヴィ氏は、この移行は自然なものであると述べています。「市場は安定した収益を必要としています。熊市では、固定収入商品がこの需要を満たします。世界的に金利が上昇しており、誰もがこのリスクフリーの収益を活用したいと考えています。これまでトークン化された株式への関心はあまり見られませんでしたが、S&P 500の上昇率が年初来17％程度となっているにもかかわらずです。ただし、ドル以外の通貨での固定収入商品に対する需要は特に高まっています。」

今後の発展に期待

近年、トークン化された米国国債、債券、マネーマーケットの評価額は685億ドルに達しています。リスクフリーとされる米国政府債券の利回りが多くのDeFiオファリングを上回ったことから、デジタルアセット愛好家の間でトークン化された米国国債への魅力が高まっています。

2023年には、OpenEden、Ondo Finance、Maple Financeなど、さまざまなトークン化ベースの国債製品を提供するプラットフォームが登場しました。このトレンドが急速に出現しているため、バーンスタイン・プライベート・ウェルス・マネジメントの研究者は、ステーブルコインと中央銀行のデジタル通貨を使用したグローバルマネーサプライの約2％がトークン化され、セクターの評価額が5兆ドルになると見込んでいます。

さらに、先月、UBSとJPMorganという銀行大手が資産トークン化における重要な進展を遂げました。UBSは、シンガポール中央銀行の発案によるトークン化された可変資本会社（VCC）ファンドのライブパイロットである「Project Guardian」を発表しました。UBS Asset Managementは、UBS Tokenizeサービスを通じて、トークン化されたマネーマーケットファンドについての制御されたパイロットを既に実施しており、償還やファンド申し込みなどの活動を行っています。

一方、JPMorganはブラックロック（BlackRock）などの大手資産管理会社との間で、ブロックチェーンベースのトークン化プラットフォーム「Tokenized Collateral Network（TCN）」を開発しました。このプラットフォームは、従来の資産をデジタルトークンに変換することを目的としており、最初の取引としてマネーマーケットファンドの株式をデジタルトークンに変換し、その資産をバークレイズ銀行に担保として利用しました。TCNは、2022年5月に初めて内部テストが行われ、現在はクライアントや取引の増加に向けて急速に拡大しており、従来の決済をブロックチェーン上で迅速化することを目指しています。

トークン化RWAの市場はまだ新興ではありますが、ますます多くの個人や大手市場主体、投資家が、トークン化RWAが持つ技術的および金融的な優位性を理解し続けることで、この市場がどのように進展し成長していくのかには注目です。